3年生「租税教室」にむけて
校長 清水利浩
私たちは、『税金がなければ、社会のみんなが困ってしまう。だから、みんなで負担するものなんだ。』ということを、学校の授業で習っています。
先日の、新聞のコラムで興味深い記事が掲載されていました。
皆さんに紹介します。
「英国の思想家に、エドマンド・バークさんが、251年前の演説でこんなことを述べています。『課税して喜ばれることは、愛して賢明であること以上に、人間にはできない』。恋に落ちると理性を失うように、人間とは税金を嫌うものだ」と。
その傾向は、古今東西を問わないが、どれだけ税金を嫌うかは、濃淡があるそうです。例えば、北欧諸国(スウェーデンやデンマーク、ノルウェーなど)は、負担が重い(消費税25%)が、充実した社会福祉制度が提供されるので国民の不満は低いそうです。一方、日本は、税金を嫌う度合いが高いとされています。
なぜ、日本では嫌われるのか。まず、考えられるのが、「税金を払っているのに、利益を受けていない」と感じる人が多いことだそうです。また、「どのように使われるかへの関心も低いのではないか」。しかし、それだけではないようです。
歴史を紐解いてみます。欧米では、重税や不公平さなどの不満が、市民革命や独立戦争へ発展し、近代国家が成り立ちました。(フランス革命(貴族と聖職者には免税の特権、市民が税金を支払う)、アメリカ独立戦争(イギリスが植民地であるアメリカに新しい課税))。つまり、市民・国民が、「勝ち取った」感があるのだといいます。日本では、江戸時代の年貢のように、上から下へ押し付けられたままの印象。百姓一揆など重税への抵抗運動はありましたが、「勝ち取った」ことがなく、納税倫理が育たなかったといいます。
本日の租税教室は、みなさんに『税金がなければ、みんなが困ってしまう。だから、みんなで負担するものなんだ。』という意識を再確認してもらうために開催します。将来、君たちも、社会に出て活躍することになります。
民主主義の根幹である租税の意義や役割を正しく理解し、社会の構成員として納税者として、社会や国の在り方を主体的に考えて、活躍をしてほしい。
税金とは「社会共通の費用をまかなう会費」であるということをしっかりと学んください。
<参考文献>朝日新聞 2025.2.27 天声人語